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「洋服屋」という仕事

◆もう少しで
9月はブログ皆勤というところでしたが、ここに来て仕事がちょこちょこ入ってきちゃって惜しいところで歯抜けになってしまいました。

先日、ビルの中の責任者会議に出席しました。
メンズショップを担当する会社のリーダーや、販売会社の代表などが呼ばれたんですが、そこで面白い資料が配られました。

その資料は、8月期の全スタッフの個人実績の一覧でした。
ぼくが居るビルは、メンズ23ショップ、販売スタッフは約100名ほどいます。
ぼく達の販売した記録はPOSシステムによって100円単位まで記録されています。

この資料をどういう目的で配ったのか、その意図は定かではありませんでしたが、ものすごい数字に驚きました。
いくら落ち目の館で閑散期の8月だといっても、
「それはないだろう…」
みたいな実績のスタッフが多すぎます。売れない人間のあまりの多さに、集まった責任者全員が絶句でした。

これしか売れない人間に普通に給料が支払われてるんですから、会社としては利益が上がるワケがありませんよね~。ぼくらにそれをわからせるための資料だったんでしょうか?
そのリストの下位グループには、もちろんぼくの会社のスタッフの名前もありました。

会議が終わって、各自自分の担当するショップに戻って、その資料をどうしたのか?
スタッフに見せて気合を入れた人もいました。今どきの若いのに気合を入れようとしてもそう簡単にはいきません。せいぜいヘコんでしばらく無口になる程度でしょう。悔しいから頑張る!なんて気概があるならハナからそんなショボい数字になりませんから(笑)

結局ぼくはリーダー格のスタッフ1名に見せただけでした。

前々から思ってたんですけど、そもそも「洋服屋」という仕事って何をするんだろう?
ぼく達のように洋服を売るのももちろんですけど、ブランドの方向性を決め(マーチャンダイザー)、デザインをし(デザイナー)、型紙をおこす(パタンナー)、などの企画、生地や工場の手配、製品のチェックや出荷、営業職や広報、その他も色々ありますが、そのどれもが「洋服屋」の仕事です。

が、これらの中から自分に合ったセクションを選べるのは本社のある東京などの首都圏のみで、地方になると「洋服屋=販売」になってしまうんですよね。
何が言いたいのかというと、「洋服は好きだけど話すのが得意じゃない」という人が洋服屋を職業にする場合、東京なら内勤が選べるんですけど、地方では販売しか選べないということです。

「販売」は、敷居が低く誰でもなれますが、傍から見るほど簡単じゃないんですよね~。
洋服に詳しいだけでもダメ、流行に敏感なだけでもダメ、話すのが上手なだけでもダメ、モノを売るのが上手いだけでもダメ、その全てを兼ね備えてないとなかなか出世しないんです。
さらに、後輩や部下ができれば、管理能力や教育能力まで問われます。

20歳で業界に入り、30歳を過ぎてある程度の収入を得られるようになるのは、ぼくの経験だと100人に1、2人くらいでしょう。販売単独だとそれくらい厳しいんです。
店の売り子といっても対面販売ですから、向き不向きが如実に現れてしまいます。

こんな事は別に今になってのことではありませんけど、中央と地方の格差はこんなところにも現れているんだなぁ、と感じた出来事でした。

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