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友との再会

◆RRMを立ち上げて以来
ず~っと気にしていたことがありました。

ぼくがプラモを始めたのは中学1年の頃でした。
クリスマスのプレゼントに買ってもらった1/60のガンダムと、塗料のセット。
以来、その面白さにのめり込んでいくんですけど、クラスメートに、ちょうど同じ頃プラモを始めたヤツが居ました。仮にそいつを「ジライ」としておきましょう。

ぼくとジライはすぐに仲良くなり、休みのたびにぼくの家で一緒にプラモを作るようになりました。
早起きしてプラモを買いに並んだり、工作や塗装の方法を研究したり…。
お互いを刺激しあいながら成長していきました。
ジオラマの研究もこの頃でした。
ベースとなる発泡スチロールを工場に忍び込んでパクったり(コラ!)、木の根っこを掘りに山に入ったり。

ジライのウデは相当なものでした。
作業の正確さ、丁寧さは特に秀でていましたし、当時は筆塗りでしたが、ムラなく塗装する事にかけてもすごいテクニックを持っていました。
周りに本気でプラモを作るヤツはジライ以外にはいませんでしたから、ぼくにとってジライは唯一の友達で、最大のライバルでもあったワケです。

高校は別々になっちゃいましたが、ずいぶん成長したぼく達は、2人でコンテストに出品してさらにウデを競い合ったりして、この頃の模型ライフが、今のぼくのベースになっているのは間違いありません。

しかし、高校3年の頃になると、プラモ以外の事にも興味が出始めて、ぼくとジライはだんだん疎遠になっていきます。
ぼくは高校を出て上京したんですけど、その頃には電話もしなくなっていました。
成人式の会場で、偶然会って以来、互いの消息はわからないままになっていたんです。

それから10年以上経ち、ぼくは東京の会社を辞めて郡山に帰ってきて会社を作り、TK達と再会し、RRMを立ち上げる事になるんですが、思い浮かぶのはジライのことでした。
「あいつどうしてんのかなぁ~」
「まだプラモやってんのかなぁ~?」

でも、最後に会ってから16年も経ってると、さすがに連絡しずらいんですよね~。
マルチの勧誘だと思われたらどうしよう、とか思っちゃって…。
それからさらに4年も経ってしまいましたが、事あるごとにジライのことがアタマをよぎります。

昨日、店で展示会のポスターを印刷してたんですが、それを見て、
「これを持って直接ジライの家に行けば、いくらなんでも怪しいとは思われないだろう」
と、思ったぼくは、店が終わってからジライの家に行ってみることにしました。
もし、ジライが郡山に居なくても、家族にポスターと名刺を渡してくるつもりでした。

20年前の記憶を頼りに、クルマでジライの家の周りを回ってみましたが、さすがに20年も経ってると景色がガラリと変わっていて、どこがジライの家だったのかわかりません。

これじゃイカン!
と、近くのショッピングセンターにクルマを停めて、歩いてジライの家を探します。
「確かここだったよな…」
家に昔の面影はなく、ガレージにはBMW。表札には何も書かれてません。

「よし、ここは突撃だ!」
ぼくはインターホンの呼び鈴を押しました。

「は~い」
と、子供の声。
「あの~、ここって○○(ジライの苗字)さんのお宅ですか?」
「はい」
やっぱりここでよかったんだ!

「J.J.と言いますが、ジライ君はいらっしゃいますか?」
「どちらのJ.J.さん?」
と、今度はおばさんの声。きっとジライのお母さんでしょう。
「ジライ君の中学の同級生です」
「まあ!どうぞどうぞ!」

玄関に入れてもらったぼくを見て
「富田(ぼくの家のあたり)のJ.J.さんかい?」
と、おばさん。ぼくを覚えてくれてたみたいです。
「そうです!どうも、おひさしぶりです」

そしておばさんに呼ばれて、ジライが出てきました。
「おお!J.J.!」

20年ぶりの再会でした。
ジライは昔とちっとも変わってませんでしたが、結婚して2児の父となってました。
「久しぶりだなぁ~!どうしたんだ?いきなり」

ぼくは
「また始めたんだ」
と言って展示会のポスターを渡しました。

「おおっ!すげえ!」

話してみると、ジライも本格的ではありませんが、今でもプラモは作ってるようでした。
懐かしくて、しばらく話していましたが、ぼくはカミさんを迎えに行かなければいけません。

とりあえずぼくの名刺も渡して、ぼくはジライの家を後にしました。
ジライはクルマを停めたところまで送ってきてくれました。
「また一緒にプラも作ろうよ」
ぼくはず~っと言いたかった事を、ジライに言いました。
そう、これが言いたかったんです。ず~っと。

「本気でやるとなると準備が大変だからな~」
ジライはやるともやらないとも言いませんでした。

でも、それはどっちでもいいんです。
ぼくが郡山に帰ってきて、またプラモを本気でやってるんだと言う事をどうしてもジライに伝えたかったんですから。

「店に行くから!」
と、ジライと別れて帰ってきましたが、ぼくは胸のつかえが取れてなんだかスッキリしました。
ジライが本気でプラモ作ったら、どんなのが出来るんだろうな~…。

あ、ぼくの連絡先は渡してきたのに、ジライの連絡先を聞いてくるのを忘れた(汗)
いっつもこうだよ…(笑)

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