パンドラの箱

◆先日
隣の店が撤退して、セール会場になったと書きました。

そのセール会場には何のセール品が置いてあるのか?
そこには、デベロッパーのプライベートブランド(PB)のキャリー品(型落ちの商品)が並んでいます。

PBとは、デベロッパーが作ったブランドで、大抵は既存ブランドの「いいとこ取り」の商品を作って独自のブランドとして展開しているものが多く、その節操のなさから、プロパー(定価)の商売ではあまり売れることはありません。

ところが、爆発的に売れてるんですよね~。
普段ほとんど売れることのないPBのしかもキャリー品が、連日ものすごい勢いで売れています。

これはどういうことなのか?
郡山のお客さんの多くが、ビルに期待するのものが「ファッション」ではなく、「もうなくなるんだから安くしろよ!」であるという事を如実にものがたっているんじゃないでしょうか。

早すぎた閉店発表以来、ブランド全体の不況期よりも凄い勢いで入店客、売上共に減少の一途をたどりました。そのうえ閉店を待たずして撤退するブランドがでてきた事は、ビル首脳陣はもちろん、本部でも頭痛の種であったことは間違いないんですが、この期に及んで出店してくれるブランドなどあるはずもなく、このセール会場のオープンは言わば「苦肉の策」だったんです。

しかし、このセール会場のオープンは、開けてはならない「パンドラの箱」でした。
確かに、普段来ないようなお客さんはワンサカ来てますが、セール会場に直行し、「ブランド」や「ファッション」は関係なくひとしきりセール品を買い込んで帰ってしまうだけですから。
そして、一般のお客さんまで、「セール」を意識した買い物をするようになります。これでは、セールをやってないショップはたまったものではありません。

この3連休、セール会場以外のショップは軒並み壊滅状態でした。
ぼくのところも例外ではなく、「お得意様」以外は入店さえほとんどないようなありさまでした。

いったんセールを始めてしまうと、もうプロパーの商売には戻れません。
かといってここから閉店までは、あと4ヶ月以上あるんです。それまでずっとセール…。ありえない話です。
本来なら苦しくても年内いっぱいはプロパーで頑張って、年明け初売りから一斉にバーゲン、そして売りつくしとしていかないと、せっかく何年も通ってくれている「お得意様」を裏切るカタチになってしまいます。

しかし、もうセールは始まってしまいました。
あのお客さんの勢いを見る限り、いつまでもカッコつけていられる状況ではなくなって、ぼくの店でも来週から店内の一角でセールの開催を余儀なくされた感じです。

それでも現場サイドの判断で、セール品を入れられるところはまだいいんですが、大部分のブランドではそれは不可能でしょう。プロパーのみのショップは、これから更に逆風の中戦っていかなければなりません。

そんな状況の中、ビルの責任者は自分が決定を下したセール会場が予想以上に売れて得意顔。
他の多くのショップが苦戦している事には気付いているんでしょうかね。
ビルのトップの舵取りとしては最悪の展開と言っていいでしょう。ぼくから言わせれば、商売の事もお客さんの事も現場の事も何一つわかってない…。

デベロッパーとのお付き合い、これからも続くんでしょうけど、先方の責任者はぼく達には選べません。
悪い言い方ですが、「組織のトップが無能であるという事は、それ自体が罪である」というぼくの持論が、そのぼく達を使って実証された、という皮肉な結果となってしまいました。

なんだかんだと書きましたけど、愚痴ってばかりいても仕方ありません。
何とか突破口を見つけてこの事態を乗り越えていかなければいけません。
こういう状況でも、今年1番の売上を作ってくれたお得意様を裏切らないよう、ぼくたちは頑張っていかなければいけませんしね。

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